2013.06.26 Wednesday
清滝ホタルの夕べ
梅雨の谷間をぬうような好天の1日、24日は湿気があって、まさにホタル日和だった。
清滝テラに集まったのは、年も性別も住まいも国籍も異なる30人の人々、 この日の音楽に合わせて、メニューから考えていただいた山上公実さんのお料理を食べ、 山本公成さん、ほしこさんの音楽を聴き、遠い国まで、心の旅をした。 バルト海のボルシチを食べて民衆の解放への声を聴き、フィリピンのコーヒーを飲んで山岳民族の棚田の広がりを見る。ネイティブアメリカンの笛と獣の声も聞いたし、中国の草原にわたる風と竹の笛を聞き、走る馬も見た。「ナマケモノのお菓子」という名のリトアニアのお菓子にも出会った。 ほんとは清滝の小さなギャラリーで、いつもながらの詰め詰め満員座席にいたんだけれど、心はとても自由でどこにでも行けた。 音楽も料理もすごいなあ。その味で、その音で、人をどこにでも連れて行ってくれるんだね。 星の映像もおなじ。時間と空間をまたいで、大空へ誘ってくれた。 そして、暗闇が深まると共に、清滝川に飛び交っていたホタルの群れ。 あれはもしかしたら、おもわずふらふらと彷徨い出た人々の魂だったのか? 異なる人々が、この日ここで出会って、ひとつになれたことに感謝している。 蛇足ですが、それにしても、私、いつも肝心なときに、写真とっていないなあ。 主催者で落ち着かないっていうのもあるんだけれど、ほんとのことを言うと、肝心なときには、自分が一生懸命見たり聞いたりしているから、カメラのこと忘れちゃうんだよね。 っていうか、ほんとの目や耳で聞きたくて、大事なときにはカメラをのぞいていない。 ずっと昔、私の仕事場には、若いネイチャーカメラマンたちがいつも集まっていたんだけれど、彼らと共に、大事なシーンをどう撮るか、っていう話をしたことがあった。 シャッターチャンスを絶対のがしたくなくて、いつも誰よりも前に出て動物を撮ろうとしていたAさん、シャッターポイントを決めてそこに動物が入ってくるまでずっと待ち続けていたBさん、わざと動物を挑発して動物と対峙して写真を撮っていたCさん、そのスタイルはいろいろだったけれど、私はDさんの「いつも写真を撮る時って、自分の目で見ていたくって、決定的なチャンスを逃しちゃうんですよね〜」と語っていた視線が好きだったなあ。 言い訳になるけれど、私のイマイチ写真の後ろには、心にだけ残るバッチリ写真があるんです。お見せできなくて残念ですけど。 この夜、片付けを終えて夜更けに帰るとき、誰もいない橋の上から霧立ち煙る川辺の森で、乱舞するホタルの群れを見た。この日最後の疲れを癒してくれるよきひとときでありました。 |